アイマス統計

THE IDOLM@STERを対象とした統計を行い,情報を発信しております。

シンデレラガール総選挙に楽曲ブーストは存在するのか?

アイマスを愛するプロデューサーの皆様および統計沼に沈まれている皆様。

紅木弘です。

 

 

本題に入る前に~アンケートご協力のお願い~

いきなりですが宣伝をさせていただきます。

現在アイマス楽曲に限定したラブソングについてのアンケート(デレマス編)」を行っております。

といいますのも,私は前々から「ラブソングとはなにか?」という疑問があったからです。
もちろん,愛や恋について歌った曲がラブソングであることはわかります。
わからないのは「どうすれば我々はラブソングだと思うのか?」です。

作詞作曲された方がこれはラブソングだといえばラブソングなのか,それとも,聴いた人がこれはラブソングだと思えばラブソングなのか。
ならば,聴いた人はどういう楽曲ならラブソングだと思うのか。
そこに,普遍的なものはあるのか。

我々がなんとなく,当たり前のように使っている「ラブソング」という言葉も,よくよく考えればとても曖昧なジャンルであることは,それこそなんとなく感じているのではないでしょうか。

ラブソングというものに,私なりの答えを,定義を,普遍的なものを見出したい。

そのための方法として今回,皆様にアンケートを取ることとしました。

ラブソングであると思う方が多い曲とそうでないと思う方が多い曲ではなにが違うのか。
テキストマイニングなどを使って見てみたいと思っております。

現在,すでにアンケートは始めており,たくさんの方にお答えいただいておりますが,もっとたくさんのデータが欲しいです。

アンケートは当下記のアンケートか,

 

 こちらのツイートからできます。

 

 

何卒,ご協力のほどお願いいたします。


以上,宣伝は終了。以下,本題に入ります。

 

存在が懐疑的な「楽曲ブースト」

以前,第9回シンデレラガール総選挙の結果についてお話ししたときに,従来言われてきた「ガチャブースト」だけでなく,歌った曲やライブが総選挙の結果に影響を与える「楽曲ブースト」「ライブブースト」と私が呼ぶものが存在する可能性を示唆しました。

これは,アイマスというコンテンツにおいて楽曲やライブの比重が大きくなり,特にデレマスは当たり前のようにドーム公演で何万人も人を集められるようなコンテンツになったこと。
シンデレラガール総選挙が第7回からモバマスデレステの共同開催となり,特に第9回総選挙からはデレステ無課金票がモバマスとほぼ同数となり,アクティブユーザー数の関係からデレステの影響力が大きくなったことが原因と考えております。

 

「 楽曲ブースト」や「ライブブースト」だけでなく,第9回シンデレラガール総選挙について考察した記事です。こちらもよろしくお願いいたします。

idolmaster-statistics.hatenablog.com  

一方で,この「楽曲ブースト」や「ライブブースト」については,存在に懐疑的な方からコメントをいただいたこともありますし,私としても本当に存在するのか確信を持てませんでした。

そこで,今回は「楽曲ブースト」が存在するのかどうか,シンデレラガール総選挙がデレステと共同開催となった第7回からの順位を基に見てみたいと思います。

なお,共同開催前の結果との比較はデータが膨大となる関係から,次回以降にお話しさせていただきます。

 

集計期間と同期間中に新曲を歌ったアイドル

まず,集計する期間は前の総選挙終了後から次の総選挙終了直前までの期間といたします。具体的には,

  • 第7回総選挙期間:2017/5/10~2018/5/9
  • 第8回総選挙期間:2018/5/10~2019/5/14
  • 第9回総選挙期間:2019/5/15~2020/5/15

とし,この期間に発表された新曲(カバー曲を除く)を歌ったアイドルを集計することとします。

表1に,上記期間中に新曲を歌ったアイドルの歌唱回数を示します。

 

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表1 集計期間中に新曲を歌ったアイドルとその回数

 
同表より,第9回シンデレラガール総選挙が終了した時点で,デレマスアイドルのうちCVがついていたアイドルは88人の内,最後に追加された小関麗奈(2020/3/31追加)を除く87人は,上記3回の総選挙期間中に最低1回は歌っていることがわかりました。

また,同期間中に歌った述べ335人の内,最も歌った回数が多いのは13回の本田未央です。

以下,8回の一ノ瀬志希。7回の安部菜々佐久間まゆ佐藤心二宮飛鳥北条加蓮と続きます。

これは,俗に総選挙曲と呼ばれる総選挙の順位が上位5位およびタイプ別上位3位が歌う楽曲に関係があります。

したがって,最近の総選挙で上位にいることの多い本田未央一ノ瀬志希佐久間まゆ北条加蓮が歌う回数が多いのは当然のことです。

逆に言えば,第7回総選挙でシンデレラガールとなって以降,順位を大幅に下げた安部菜々や,平均順位が19.3位,30.7位と第7回総選挙以降ではTop10入りしたことのない佐藤心二宮飛鳥かなり重用されていると言えます。

 

1度の集計期間にしか歌っていないアイドル

まず,一度の総選挙期間しか新曲を歌っていないアイドルを見てみます。

図2に,集計する一度の総選挙期間のみ新曲を歌ったアイドルの総選挙平均順位を示します。また,表2に第7回総選挙期間に新曲を歌ったアイドルを示し,表3に第9回総選挙期間に新曲を歌ったアイドルを示します。

なお,第8回総選挙期間のみ歌っているアイドルは存在しませんでした。

 

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図1 1度の集計期間にしか歌っていないアイドルの平均順位
 

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表2 第7回総選挙の集計期間にしか歌っていないアイドルの総選挙順位
 

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表3 第7回総選挙の集計期間にしか歌っていないアイドルの総選挙順位


これらの図と表から,以下のことがわかります。

まず,第7回総選挙期間のみで新曲を歌ったアイドルを見てみると,緒方智絵里を除いたアイドル達は,順位を上げていない,あるいはランキング外のままであることがわかります。

一方,第9回総選挙期間のみで新曲を歌ったアイドルを見てみると,星輝子を除くアイドル達は第8回総選挙上位組であり,これによってCVがついた,私が「CV枠」と呼んでいるアイドル達です。

なお,的場梨沙は総選挙の結果ではCVは付きませんでしたが,その後集計期間中にサプライズ的にCVが付いた「準CV枠」としております(同様の準CV枠に白菊ほたるがいる)。

そして,CV枠のアイドル達はCV追加後の総選挙で順位を大幅に下げる傾向にあるため,事実上第9回総選挙期間に新曲を歌ったのは星輝子のみであり,彼女は第9回総選挙で順位をあげています。

なお,CV実装後も順位をそこまで下げていない夢見りあむについては集計期間中に唯一のソロ曲追加されるなど他のCV枠よりも比較的優遇されているため,このような順位になったと考えられます。

 

集計期間に2度新曲を歌ったアイドル

次に,各期間のうち,2年づつ歌っているアイドルを見てみます。

図3に,各集計期間のうち2年づつ歌っているアイドルの総選挙平均順位を示します。また,表4から6にそれぞれ,第7回と第8回期間,第7回と第9回期間,第8回と第9回期間を示します。

 

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図2 集計期間に2度新曲を歌ったアイドルの総選挙平均順位

 

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表4 第7回および第8回の集計期間に新曲を歌ったアイドル
 

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表5 第7回および第9回の集計期間に新曲を歌ったアイドル
 

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表6 第8回および第9回の集計期間に新曲を歌ったアイドル

 

 これらの図と表から,以下のことがわかります。

まず,第7回と第8回期間のアイドルを見てみると,総選挙圏外のアイドルで順位を上げているのは十時愛梨水本ゆかりだけです。

また,第9回期間中に歌っていませんが,依田芳乃橘ありす前川みくの3人は第9回総選挙では順位を上げています。

次に,第7回と第9回期間のアイドルを見てみると,第7回,第8回に総選挙圏外で第9回に順位を上げているアイドルはいません。

一方で,総選挙圏内にいるアイドル達は順位をあげています。とくに,城ヶ崎美嘉神谷奈緒の上がり方は顕著です。

最後に,第8回と第9回期間のアイドルを見てみると,第7回総選挙によってCVが付いた鷹富士茄子は第8回で圏外になった後第9回で再び圏内入りしましたが,それ以外のアイドルの順位は芳しくありません。

例外は久川姉妹くらいです。特に,久川颯の順位の上がり方は目を見張るものがあります。

さらに,図3を見てみると,第9回期間に歌っていたアイドルの平均順位の上がり方は歌っていない場合よりも高いです。

 

集計期間中絶えず新曲を歌ったアイドル

最後に,集計期間中の3回の期間中新曲を絶えず歌ったことのあるアイドル達を見てみます。

図4に期間中新曲を絶えず歌ったことのあるアイドル達の平均順位を示します。また,表7に3回の期間中新曲を絶えず歌ったことのあるアイドルを示します。

なお,第7回期間のみ歌ったアイドルは表2であり,第7回と第8回のみ歌ったアイドルは表4です。

 

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図3 集計期間中新曲を歌ったアイドル
 

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表7 集計期間中新曲を歌ったアイドル

 

図4より,第7回から第9回の総選挙期間中に新曲を歌っているアイドルの平均順位は28.9位とかなり高いです。

それもそのはずで,表7を見てみるとそうそうたるアイドル達が軒を連ねています。

ただし,総選挙に強いアイドルだけがいるわけではなく,第7回から9回の間圏外のアイドルもいます。

しかしながら,圏外ではないアイドルたちは第8回よりも第9回の方が順位をあげています。

例外は本田未央ですが,彼女は8代目シンデレラガールであり,シンデレラガールはその後順位を下げる傾向にあるため妥当な結果といえます。

 

つまり,楽曲ブーストは存在するのか?

これらの結果を見てみると,楽曲ブーストの存在に懐疑的になるのは事実です。

第9回総選挙は事実上CV付き総選挙であったということは以前お話ししましたが,この結果,新曲の有無にかかわらずアイドル達の順位が上がったという見方もあります。

一方で,第7回からの第9回総選挙で圏外のアイドル達への影響はさほどなかったですが,第7回総選挙でしか歌っていないアイドルたちが第9回では順位を下げているのは事実です。

また,第9回期間のみ歌った星輝子が順位をあげています。

さらに,第9回期間中に歌った城ヶ崎美嘉神谷奈緒,久川姉妹の順位が大幅に上がっているのは興味深いです。

加えて,第7回から9回の間新曲を歌っているアイドル達もみな順位を上げています。

 

以上のことから,

楽曲ブーストの存在を否定できないが,それ以前から総選挙順位圏内にいることが条件であり,それだけで影響を与えるものではない。

また,

CVがついているアイドルは新曲を歌わないと順位が下がる可能性が高いという逆方向のブーストは存在する。
と結論づけます。

 

新曲を歌う時期は関係するのか?

では,新曲を歌う時期はどうでしょうか。

図5に総選挙期間を3つに分けたときの新曲を歌った時期のアイドルの平均順位を示します。

なお,分けた期間は,総選挙後から8月末まで。9月から12月末まで。1月から総選挙終了までとしています。

 

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図5 新曲を歌った時期と歌ったアイドルの総選挙平均順位

 

これらの結果を見てみると,9月から12月末までの期間に歌ったアイドルたちの平均順位が他の期間に歌ったアイドルよりも高いですが,これは総選挙曲がこの時期に発表されているためであると考えられます。

また,1月から総選挙終了までの期間に歌ったアイドル達の平均順位よりも,総選挙後から8月までに歌ったアイドルたちの方が平均順位がやや高い傾向にあります。

これは,その楽曲に触れる機会が長いことが総選挙の順位によい影響を与えているのだと考えられます。

したがって,楽曲に関しては短期的な影響よりも長期的な影響の方が総選挙に与える影響が大きいと考えております。

 

まとめ

以上。まとめに入ります。

以前の記事で存在を示唆した「楽曲ブースト」が本当に存在するのかについて新曲を歌ったアイドルの平均順位から見てみました。その結果,

  • 総選挙曲の存在はあるが,新曲を歌っているアイドルの偏りを否定できない。
  • 総選挙の順位が圏外のアイドル達は,新曲を歌うことの影響はあまりない。
  • 第9回期間中に新曲を歌ったほとんどのアイドルは順位を上げている。
  • 同期間中に新曲を歌っていないアイドルの順位は一部を除いて下がっている。
  • 1月から総選挙終了までに新曲を歌った場合より,総選挙後から8月末の間に新曲を歌った場合の方が順位が高い傾向にあるが,歌った時期の影響はさほどない。

ことがわかりました。したがって,本ブログでは
「楽曲ブースト」は存在するが条件は厳しく,それだけで総選挙に影響を与えるものではない。と結論づけます。

もう一つのブーストである「ライブブースト」の存在についてはまたお話しさせていただきます。


それでは,これにて本記事を締めさせていただきます。

統計の力で,アイマスがもっと好きになる。

紅木弘がお送りしました。

 

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